【感想】自分の中に孤独を抱け / 岡本太郎
人間がいちばん人間的なのは、孤独であるときなんだ。
だからぼくは言いたい。
孤独を悲壮感でとらえるな。
孤独こそ人間の現実的なあり方であって、
狭い、特殊な状況じゃない。
人間全体、みんなの運命をとことんまで考えたら、
ひとは必然的に孤独になる。
孤独であるからこそ、無限の視野がひらける。
「自分の中に毒を持て」で衝撃を受け、「自分の運命に楯を突け」でも
情熱を持て余すことなく真っすぐな言葉が綴られていた。
そして、シリーズ最終章という位置づけの「自分の中に孤独を抱け」も読了した。
所感として、3作ともほぼメッセージ性は同じであり似た話もよく出てきた。しかし、通して読むことで、何度も繰り返し岡本太郎さんの一貫した思いを受け取れた。
個人的には最初の「自分の中に毒を持て」が一番読んでいて衝撃が大きかった。今まで出会ったことのない文章ばかりであった。他の人には書けない、尖った文章が多い印象だ。でも、物事の観察力はずば抜けている。社会の闇を見通しているような感じだった。綺麗事に対抗し、人に好かれない方向に尖っていった、それを貫き通した凄さが文章ににじみ出ていた。世渡り上手に、世間にうまくあわせていくと、むなしい。世の中のシステムに組み込まれ、レールに乗って運ばれていく人たちは本当に生きているといえるのだろうか。システムによって便利になる反面、まるで人がシステムの奴隷になってはいないか。
そういう問題提起を熱く投げかけている。うまくやることだけがいいわけじゃない、下手だって下手なりの良さがある。きれいな工業製品はつまらない。誰しも思っていて、そっと内に秘めているようなことも、素直に、ぶっつけて外に現している。嫌われるかもしれない。嫌われてもけっこう。むしろ嫌われにいく。そんな言葉ひとつひとつが身にしみて、現代にとって何が必要か、現代のむなしさを乗り越えるにはどうしたらよいかというヒントが詰まっている本であった。